今回の記事ではポッドキャストを活用した具体的な英語学習方法をご紹介します。順を追って読んで頂けると、ポッドキャストという無料の英語コンテンツを120%利活用するアイディアをつかんで頂けると思います。
ひたすら聴いてリスニングを強化
ポッドキャストはまずは何と言ってもリスニング強化に役立ちます。
ポッドキャストはビデオで配信される番組もありますが、基本は音声のみの番組が多数です。音声だけを頼りに会話やナレーションの内容を辿っていく事で、リスニングを強化する事が可能です。番組もトークショー、ニュース、ドキュメンタリー、英語学習番組、プレゼンテーション、と様々なジャンルがあるので、気に入ったものを見つけられれば長く続けられると思います。
よし聴くぞ!と意気込んでもしんどいだけなので、ポッドキャストを聴く事を毎日のルーチンに組み込んでしまうのがオススメです。僕の場合は片道1時間20分の通勤時間を活用し、家から駅までの10分でUp First(ニュースのサマリー番組)を聴き、55分の電車内ではJoe Rogan Experience(トークショー)をBGMに日経新聞を読みつつ、会社最寄り駅から事務所までの15分でMarket Place(ニュース番組)を聴いています。帰り道はThe Moth(プレゼンテーション)、How I Built This (起業家のインタビュー番組)など、よりエンターテイメント性の強い番組を楽しんでいます。ポッドキャストだと、気に入った番組を登録(Subscription)しておく事で最新エピソードが自動配信されてくるので、これもルーチン化を楽にしてくれます。
さてこれで往復で2時間40分聴く事になりますが、年間220日続けたとすると、年間で約580時間もリスニングできる事になります。これだけやっておくと、ビジネスシーンでの英会話やTOEICなど、英語のリスニングで困る事はほぼありません。それ以上に、番組から様々な学びや刺激を受けられるのが魅力です。
倍速モードで高地トレーニング
ポッドキャストプレーヤーには再生スピードを調節する機能がついているので、再生速度を上げて、言わば「高地トレーニング」を行うのも良いでしょう。1.2~1.3倍速程度までであれば聴き取り可能です(これを超えると破綻してくるかも)。これに慣れると、通常スピードの音声が非常に遅く感じられるようになります。また、番組を聴く際の時短にもなります。番組によっては1時間~2時間のものもあるので、倍速モードの有効活用をオススメします。
シャドーイングでリスニングをブラッシュアップ!
シャドーイングというリスニング強化練習をご存知の方も多いと思います。元の音声にぴったり寄り添って、音声に続けて同時に復唱する練習方法の事です。シャドーイングには、音声の聞き取り→単語、発音の認識→(意味の理解)→発話、という要素が含まれているので、ただ単に音声を聞き流すよりも学習効果が高いです。自分のレベルより高い音源だと、聞き取りもままならないため、初めはやさしめの音源や、再生スピードを落とした状態で練習するのが良いでしょう。特に、トランスクリプトが用意されている番組(Hapa英会話など)で、発話内容を理解しながら練習する事がオススメです!スピードが速いと思ったらポッドキャストアプリの倍速機能を使って、再生速度を落としましょう。
シャドーイング用教材にオススメの番組
シャドーイング練習用のコンテンツには、何と言ってもトランスクリプトが無料で提供されている番組を推奨します。次のようなものがあります(リンクをクリックすると各番組のトランスクリプト公開ページに飛びます)。
初中級者向け:Hapa英会話 (米国英語)
日米ハーフのJun先生がお届けする「生きた英語」を学べる超有名ポッドキャスト。先生の日英織り交ぜた近況報告に始まり、ネイティブスピーカーによるリアルな会話セッションが主な構成で、毎回とてもハイクオリティです。ポッドキャストの音源はもちろん、会話のトランスクリプトまで無料で公開されているのが素晴らしいです。
中・上級者向け:Luke’s English Podcast (英国英語)
英国在住の英語教師・Luke先生による英語ポッドキャスト。英語のフレーズだけでなく、イギリス人特有のものの考え方やスラングの紹介や、OASISやスターウォーズといったポップカルチャーについてひたすらLuke先生が語る会があったり、楽しんで聴ける内容です。英国発音を練習するならこの番組がオススメです。
上級者向け:This American Life (米国英語)
毎週更新のドキュメンタリー番組。名の通り、様々な人の人生体験がつづられる内容で、考えさせられるテーマが多い。Wikipediaによると、360万人のポッドキャストリスナーがいるそうです!
自分の発音確認にオススメのアプリ
シャドーイング練習に際しては、自分の音声を録音して確認する事がオススメです。スマホ用に様々な録音アプリが出ていますが、僕は次のようなアプリを推奨します。
Echo
エコー(山びこ)のように、音声を即時リプレイしてくれるアプリ。録音した音声は保存操作をしない限りファイル化されないので、スマホがゴミファイルで溢れるという事がありません。Android版しかリリースされていないのが残念。
Castbox
ポッドキャストアプリの一つですが、フィーチャーリッチで、音声録音機能も有しています。たくさんのアプリを入れたくない、という人にオススメ。
英語学習用の番組でフレーズや単語を体系的に習得
ポッドキャストにはたくさんのジャンルの番組がありますが、ずばり英語学習を目的としたハイクオリティな番組が多数公開されています。ネイティブスピーカーによる会話を主体に、その会話のキーフレーズや単語の解説が主なコンテンツとなります。また「レッスンノート」という会話のトランスクリプト(原稿)やボキャブラリーをまとめた資料(ウェブページやPDF)が公開されているものもあります。
Hapa英会話 (米国英語・トランスクリプト有り)
日米ハーフのJun先生がお届けする「生きた英語」を学べる超有名ポッドキャスト。先生の日英織り交ぜた近況報告に始まり、ネイティブスピーカーによるリアルな会話セッションが主な構成で、毎回とてもハイクオリティです。ポッドキャストの音源はもちろん、会話のトランスクリプトまで無料で公開されているのが素晴らしいです。※トランスクリプトはホームページ上で公開されています。
Englishpod 101 (トランスクリプト有り)
こちらは有料サービスとなりますが、楽しく学べるポッドキャストエピソードが充実しているだけでなく、フラッシュカード、発音練習といったツールが揃ったパワフルなサイト。
EnglishPod101.com – Learn English with Free Daily Podcasts
All Ears English (米国英語・トランスクリプト有り(有償))
Lindsay先生とMichelle先生による英語学習ポッドキャスト。Connection NOT Perfection® (完璧ではなく伝わる事を目指そう)をモットーに、楽しく英語やアメリカのカルチャーを学べる番組。全編英語の上、先生達の英語はかなり早口(&ハイテンション笑)なので、かなりの歯ごたえがあります。初級者には難しいかも。ケンブリッジ大学英語検定機構らが運営する英語試験・IELTSの対策に特化した番組やアプリも有り。トランスクリプトは有償で、申し込むと毎週Emailで届きます。一週間あたり$6.99、年間に直すと約4万円なのでなかなか高額ですね。
トーク番組でネイティブの自然な会話に慣れる
TOEICや英検は高得点なんだけど、ネイティブ同士の会話には全くついていけない、という方には複数のゲストが議論するトーク番組がオススメです。トーク番組の場合、ネイティブスピーカーが日頃の会話で使う色鮮やかな表現やスラング、会話のテンポや間の取り方、自然な応答や問いかけのフレーズと、たくさんの学びがあります。ネイティブ同士のトークが主体となった番組には次のようなものがあります。
初・中級者向け
Hapa英会話 (米国英語・トランスクリプト有り)
本記事で三度目の登場ですが、それくらいクオリティの高い番組です。
中・上級者向け
All Ears English (米国英語・トランスクリプト有り(有償))
前項でもご紹介したネイティブスピーカー二人による英語学習番組。かなりの早口なので、ついていくのが難しければポッドキャストプレーヤーの低速再生モードを活用しましょう!
ここからはネイティブ向けの番組です。
The Joe Rogan Experience (米国英語)
コメディアン・総合格闘技コメンテーターであるJoe Roganが司会を務める大人気トーク番組。延々とダベっているだけだが、各界の著名人を迎えての2時間近いトークをほぼ毎日、10年にわたって続けているのはスゴイの一言。いわばマッチョな徹子の部屋、と言うべきか。ゲストの事を知らないと聴いていてしんどいかも。
http://podcasts.joerogan.net/
WTF with Marc Maron (米国英語)
上述のThe Joe Rogan Experience(JRE)と双璧を成すポッドキャスト。こちらはコメディアンのMarc Maronがホストを務めるインタビュー番組で、過去にはオバマ大統領が登場した事も。
http://www.wtfpod.com/
Fresh Air (米国英語 トランスクリプト有り)
1985年から続くラジオのインタビュー番組。俳優、女優を初め各界の著名人が登場する点では前述の番組と同様だが、こちらはNPR(National Public Radio)という公共の電波で放送されているため、内容はよりマジメな印象。トランスクリプトは無料で公開されています!
トランスクリプト例:
ニュース番組で時事英語やワンランク上のリスニング力を
最新のニュースをリアルタイムに聴くことで、テキストブックには出てこない最新の時事用語にも明るくなれます。この記事を書いている2020年現在だとトランプ大統領の弾劾が話題になっていますが、impeachment:弾劾、whistleblower:内部告発者、といった単語がバンバン学べます。特に海外とビジネスをしている方には、話題に着いていく上でもニュースの視聴がオススメです(※あ、海外の方と政治の話は避けた方が無難です、念の為)。
Wired UK Podcast (英国英語)
イギリスの情報誌・Wired UKによるポッドキャスト。毎週最新のテック、サイエンス、ビジネス、そしてカルチャー系のニュースを紹介(ブリーフィング)する番組。Wired UKがリリースしたニュースをもとに討議が繰り広げられるので、そのニュース記事を合わせて読むと理解が深まります。
BBC World Service Global News (英国英語)
ニュースカテゴリでは常に上位にランクインする番組。ご存知イギリスのBBCが毎日配信する世界のニュース。毎日聴いていると世界の情勢に詳しくなれますが、紛争や政治問題に関する報道が多いのでテンションはだんだんと低くなるかも。
Up First (米国英語)
Wired, BBC, と英国英語の番組が続きましたが、こちらはアメリカ発のニュース番組です。数あるニュースの中から、一日を始めるにあたって知っておくべきトピックスを選りすぐる、というコンセプトで、15分弱の番組が正に朝の通勤時間帯に聴くのにぴったりです。アメリカローカルのニュースが中心となります。
オージーイングリッシュ、インド英語など、様々な英語に触れる
アメリカ英語やイギリス英語だけが英語ではありません。英語は世界各地で独自の進化を経て定着しており、方言化しています。オーストラリア英語(オージーイングリッシュ)なんかはTOEICのリスニングでも出題されますね。広東語、マレー語などとブレンドされたシンガポール特有のシングリッシュなんかはアクが強く、慣れないと聴き取るのに一苦労。ポッドキャストを活用すれば、これらローカルの英語にも触れる事ができます。オーストラリア、インド、シンガポールといった国と仕事をされている方、TOEIC受験予定の方、特殊英語のトレーニングにポッドキャストを活用されては如何でしょうか?このような番組があります(探せばいくらでも出てきます)。
Australia Wide ABC Radio
オーストラリアのニュース番組。平日毎日更新。
Inside Forbes India
インドの経済紙・Forbes Indiaによるポッドキャスト。
Not Again Podcast
シンガポール在住のコメディアン・Garyによるトーク番組。
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