「繁花」ドラマ解説 第29話 (ネタバレ有り!)

繁花 ドラマ
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このシリーズでは2024年に中国で大ヒットしたドラマ「繁花」のあらすじを紹介して参ります。今回は第29話の解説です!

第29話では阿宝と强总の闘いが最終局面へ – 阿宝最大のピンチ!

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第29話あらすじ解説

阿宝は1.2億元分のファンドを運用していたが、宁波服装厂と林太の資金が無くなったため資金は半分に。現金を捻出するため保有株の一部を放出し、株の持ち高は280万株となった。総資産は西国投が融資した3千万元を含むと5千万元、まだ何とか持っているが、阿宝はい個人資金を蔡司令,邮票李と胖阿姨に分配し株式投資チームをいったん解散する事とする。

西国投の王总たちの試算によると、服装公司の株価が10元まで下がると阿宝のポジションは強制決済されゲームオーバーとなってしまう。王总は服饰公司のアニュアルレポート発行時に十送五(保有株式10株に対して5株の配当)でも良いので配当がアナウンスされれば問題無いと見込むが、果たして配当は付くのか?

かくしてアニュアルレポートが発行されるが、そこに配当の告知は無かった。麒麟会の巫医生は、株価の下落を危惧し、グループ所属の個人投資家たちに警告を伝える。取引所では配当を期待していた個人投資家たちが混乱に陥る。

メディアのインタビューに答える服装公司の蔡总は、董事長会で議論した結果として、今年は利益を生産拡大にまわし株主への利益配分は見送ることにしたと伝える。阿宝は蔡总に連絡を試みるが、連絡が付かなくなってしまう。蔡总は强总に全幅の信頼を寄せており、强总のアドバイスを受け利益配分を見送ったのである。强总は服饰公司の株価を下げ、阿宝を破産させたい、という思惑があるだけなのだが。

强总は大量の売り注文を出し、12元を目標に株価を下げていく。阿宝は1元下がるたびに280万元の損失だ。10.88まで下がると阿宝は終わりだ。株価はその日の終値で12元まで下がり、阿宝の資金は3千3百万元まで下がる。うち3千万元は西国投の融資なので、実質残り資金は3百万元だ。こうなったらいくらでも良いから株を売り払って現金化しないと服饰公司の株と共に終わってしまう。しかし翌日、買い手が付かず、株価は10.88元まで下がり阿宝の自己資金は遂にゼロとなる。翌日朝一で強制決済失効を迎えてしまう事になってしまうのだ。

阿宝たちが手掛けているのは先物取引であり、阿宝たちは取引所に証拠金(取引の担保となるお金)を預けて服饰公司の株価を予想し、売り買いのオーダーを入れている(=先物のポジションを築いている)。服饰公司の株価が想定以上に下落すると阿宝に対して”平仓(強制決済)”が発動、証拠金を全て失うだけでなく、ポジションが強制的に決済されその値差からの損失も被ってしまうのだ。その強制決済が発動する株価が10.88元という訳だ。

服饰公司ではさすがに蔡总もこれはどうしたことか、と途方に暮れる。麒麟会の巫医生たちも、1500万株もの売り注文に買い手が付かなかった状況から、メンバーたちの損失を心配する。

西国投では、取引所に借り越しとなっている1500万元を翌日朝9:40までに支払わないと本社に知られて大問題になると慌てるが、同時に良きパートナーである阿宝を気遣う。強制的に阿宝から取り立てるのは王总も気が引ける状況だ。阿宝と王总は電話で対策を相談するが、名案浮かばず、翌日9:30のデッドラインを再確認するにとどまる。

蔡司令は阿宝に、こうなったら面子など気にせず麒麟会に助けを求めろ、と言う。阿宝はまだ慌てるな、と答える。强总は自分が破産したら服饰公司の株を安値で手に入れるつもりだろうが、麒麟会は自身も服饰公司の株をたくさん持っている(=重仓)ため株価が下がるのは麒麟会としても困るだろうと見ている。阿宝は麒麟会との我慢比べで、麒麟会の方からアプローチしてくるのを待つ事にする。もし麒麟会が動かなければそこでゲームオーバーだ。

蔡总はレポート発布後、市場の反応が想像以上にネガティブだったため、焦って强总に助けを求める。强总は何とか方法を探すから夜に会おう、と答える。そして玲子に電話をかけ、今夜は夜东京で祝勝会だ、と言う。

その夜、强总は夜东京で蔡总を待つ。そして玲子に至真园は自分のものになった、継ぐ気はないか玲子にほのめかす。そこへ芳妹がやって来て、陶陶が見つからない、他の女と駆け落ちしたに違いない、と取り乱す。この時玲子たちは芳妹が大量出血している事に気付き、大慌てで救急車を呼ぶ。芳妹は妊娠しており、子どもの命運が気になる…

陶陶と阿宝が病院に駆け付ける。陶陶は芳妹の家族から罵詈雑言を浴びせられるが、幸いお腹の子は無事であった。もし子供もいらず、自由の身になりたいならそうすれば良いという芳妹からの伝言を、陶陶は玲子から受け取る。阿宝は義兄弟として陶陶と今後を話す。ずっと自由になりたいって言ってたじゃないか、そのチャンスだと阿宝が言うと、陶陶は「俺はずっと潇洒(xiāosǎ:瀟洒、エレガント)でいたいと思ってきた、それ以外の事では阿宝に勝てないから。だから芳妹と子供の事でも潇洒でなくてはならないんだ」と言い、芳妹とヨリを戻す事に。BGMで流れる赵传の「我是一只小小鸟」、高く飛びたいと言っていた小鳥は結局巣に帰ったのであった。

病院で阿宝と玲子は久しぶりに言葉を交わす。阿宝は玲子に以前あげた預金通帳を渡すが、玲子は謝辞する。阿宝は翌日自分が無一文になるかも知れないし、玲子が持っていた方が良い、と説き伏せる。玲子は爷叔を行かせちゃって良いのか聞くと、阿宝は爷叔を巻き込みたくないんだ、と答える。そして阿宝はまだ玲子に伝えていなかった事があると言うと、玲子はそんなものは無い、あなたが初めて私の部屋に来たときから二人が付き合うことは無いと分かっていた、と返すのだ。そして去りゆく玲子、阿宝は「谢谢侬,帮了吾介许多年(ありがとう、こんなに長い年月俺を助けてくれて)」と呼び掛ける。ちょうど葛老师が身の上話を病院の人たちにしている声が響き、自分の境遇を重ね感極まる玲子。後ろ髪を引かれつつも阿宝を後にするのであった。

玲子が夜东京に戻ると、ちょうど会食を終え蔡总を强总が見送ったところであった。店仕舞いをする玲子を强总は5分だけ飲もうと誘う。そして飲みながら强总は玲子を深圳に一緒に行くよう誘う、深圳なんなら香港でもっとデカい夜东京を開かせてやる、と。玲子はこの3年間は阿宝に投資してもらった3年間だった、次の3年間は自分で道を切り開きたい、新しい人たちと出合いたい、と言い强总の誘いを断るのであった。

翌朝、强总は万全の体制で阿宝が平仓(強制決済)される瞬間を待つ。現代版の悲劇を目の当たりにしよう、等と言って。西国投の王总のところにも阿宝からその後資金を工面できたという連絡は無く、デッドラインまであと40分だ。麒麟会の巫医生たちも阿宝の動向に注目しており、巫医生は価格さえ合えばやって出来ない取引は無い、と言う。

蔡司令は阿宝を株の世界に引き込んだことを悔いながら、胖阿姨、邮票李たちと阿宝との思い出を振り返る。面々は自分たちのグループの解散を何とか免れないのか話し合うが時は無常に流れ、期日の9時半を迎える。そして諦めて解散しかけたその時、阿宝から奇跡の危機脱出を告げる電話が鳴るのであった。

その20分前、阿宝のところに待ちわびた巫医生からの電話がかかってくる。巫医生は阿宝にまず西国投に3千万元の資金を支払った上で、阿宝の盘子(全保有株?)を2百万元の現金もしくは齐山煤电社の株300万株と交換するよう提案し、一分以内に決断するよう迫る。阿宝は自分が最近読んだ本に「唯有土地与明日同在(土地だけが明日と共にある)」という言葉があり、それに感銘を受けたと言う。そして阿宝は何と麒麟会の提案を却下、逆に麒麟会がコンサルティングしたある上場企業が買収した川沙の土地を返却し、村人たちが自主的に農業・ビジネスを運営できるようにするよう迫る。この土地は阿宝と发根が共同購入し、发根の息子・阿四のために残した土地なのだ(第6話参照)。これを飲めば阿宝は株式市場から撤退する、と。巫医生は逡巡の末、阿宝の提案は自分たちを救うことになると考え、要求を飲む。こうして阿宝は窮地を脱するのであった。しかし第6話以降一度も出てこなかった阿四やその土地の話が何の脈絡も無く出てくるこの展開、いかがなものだろうか…と思うところだが、「唯有土地与明日同在」という言葉は雪芝が好んで読んだ「風と共に去りぬ(中国語英:飘)」に登場する言葉なのだ。雪芝の急逝に際し、阿宝はふたたびこの本を読んだのであろう。劇中ではそこまでの解説はなく、視聴者泣かせである。

いよいよ9時半になるが、麒麟会の介入により阿宝への強制決済が行われないのを知り、强总は激昂する。西国投は、麒麟会の今回の対応は株式市場の健全な発展には必要な事だと言う。强总は阿宝を破滅させるため三千万元もの資金を使い株価を20元から10元まで下げ、阿宝が強制決済されたらその株を底値で手に入れる算段だったのだが、結果麒麟会が底値で譲り受けてしまった。復讐心に狂った强总の命運、ここに尽きる。

阿宝はその夜、七年間いた和平饭店と華々しいビジネス界を去り、宝总から阿宝に戻る。時を同じくして李李も上海を去る。去り際李李はA先生との最後の別れを回想するが、A先生は阿宝と酷似した男性として描かれる。本当にそうだったのか、李李の幻想なのか、真実は果たして。李李は至真园を売却した資金でA先生の債務を完済、そして偽造身分証を使用した罪に対し自ら出頭、一年の服役後出家するのであった。

いよいよ最終回、第30話へ続く!

本記事はhttps://tvmao.com/drama/YG0jXGVl を参考にしています

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