今回はアメリカのプロアメフトリーグ:National Football League (NFL)の魅力について書きます。
英語ブログでなぜアメフト?と思われるかも知れませんが、ずばり、アメリカを理解するためです!エンタメ大国のアメリカにおいて、北米四大プロスポーツリーグ(アメフト、ベースボール、バスケ、アイスホッケー)の人気は旺盛で、特にアメフトはTV視聴率、経済規模、いずれをとってもケタ違い。国民的に人気のあるアメフトを理解することでアメリカ文化への造詣も深まり、何よりアメリカ人との会話の潤滑油になります。
例えばNFLの頂上決戦・スーパーボウル(Super Bowl)。アメリカで最も視聴率の高いテレビ番組の一つと言われており、2018年のスーパーボウルでは視聴率47.7%を叩き出し、1億3百万人が視聴したとの事です(ソース:SB Nation)。日本シリーズのソフトバンク対広島戦が関東地区で10%前後であった事を考えると、驚異的なスポーツ番組です(ソース:ビデオリサーチ)。ちなみに紅白歌合戦が41.5%(ソース:ビデオリサーチ)だったので、日本人の感覚からすると紅白レベルの国民的イベント、と位置付けられそうです。
また試合だけでなく、スポーツ全体を取り巻くカルチャーも確立されており、試合の前に駐車場で開催されるTailgate Partyが盛んであったり、Monday morning quarterbackなどのアメフトを語源とする諺があったりします。そんなNFLにはアメリカのカルチャーやスピリットが凝縮されており、NFLやアメフトを理解することでもう一歩アメリカや英語への理解が深まると思うわけです。
自分の体験
僕のアメリカ駐在時代は、アメリカ人とのコミュニケーションをいかにうまく取れるか、が仕事の全てでした。初対面のお客様にサービスを売り込みに行ったり、販売後のフォローアップをしたり。会社の同僚とチームワークでタスクをこなしたり。初めはお客様や社内のメンバーと仕事の話しか共通のトピックが無く、会話を続けるのも大変でした。
そんな自分を救ってくれたのがアメフト・NFLとの出会いです。スポーツとして絶大な人気を誇るという話は聞いていたのですが、ルールが難しそう、日本では馴染みがなかった、アナウンサーの英語も早口で意味不明、と敬遠していました。そんなある日、アメリカ人の友人にゲームに誘われ、見方が一変しました。鍛え抜かれた肉体と肉体の激突、スリリングなゲーム展開、スーパーボウルという頂上決戦、NFLのあらゆる要素の虜になりました。
すっかりNFLファンになりチームや試合への理解も深まった僕は、会話に困ったらとにかくアメフトの話題で約6年間の駐在生活を乗り切りました。初対面の人とでも、とりあえず「Which NFL team do you root for?」「Did you watch the game last night?」と聞けばそこから会話が広がりました。お客様との会話は元より、街でチームの帽子をかぶっているだけで同じファンの人達から声をかけられたり。
これから数回の記事に分けて、そんなNFLの魅力、リーグの仕組み、アメフトのルール、アメリカでの文化的な位置付け等をご紹介しますので、みなさまも是非NFLのファンになってくれれば幸いです!
まず初回の今日はNFLの魅力をまとめます。
NFLの魅力
アメリカのカルチャーの一部であり、コミュニケーションツール
冒頭でお伝えした通り、アメフト・NFLはアメリカで絶大な人気を誇るスポーツです。アメリカ人との共通の話題となりますし、コミュニケーションの深度がぐっと深まると思います。もちろん中にはNFLに興味が無いというアメリカ人もいますのでステレオタイプに語る事はできませんが、自分の経験から特にアメリカ駐在員の方にはオススメします。
極上のエンタテインメント!ゲームが面白い
一見ルールが難しそうなスポーツですが、その実、ゲームとして滅茶苦茶おもしろいです!筋肉と筋肉のぶつかり合いが全てと思いきや、非常に高度な頭脳戦や騙し合いが繰り広げられており、戦略性がとても高いスポーツだと思います。ボールをパスすると見せかけ走ったり、ラスト10秒で逆転したり、ハラハラドキドキしっぱなしのスポーツです。
とにかくカッコイイ!
選手の鍛え抜かれた肉体、タッチダウン後のパフォーマンス、ファッショナブルなユニフォーム、スーパープレーの数々、そのカッコ良さに酔いしれてしまいます。
百聞は一見に如かず、一度NFLトッププレーヤーのプレー集をご覧ください。こちらはNew York Giantsのスタープレーヤー、Odell Beckham Jr (通称OBJ)のスーパープレー集です。ゲームの迫力、そのカッコ良さ、伝わりましたでしょうか?
※クリック後、リンク先のYouTubeでご視聴ください
テクノロジーが満載、プレーの分析を可能に。ゲームをより魅力的に!
NFLの試合には様々なテクノロジーが活用されており、ゲームをより魅力的なものにしています。まず早い時代(1986年)からビデオリプレイシステムが導入されており、多角的なリプレイやスローモーションでプレーのレビューが楽しめます。またチームは疑わしい判定に対してタイムアウト権を賭けてビデオ判定を要求する事ができ、試合をより戦略的にしています。テレビ放送ではリアルタイムにAR技術で10ヤードライン、プレーの軌跡や選手のステータスが表示されるので、とても分かりやすいです(ゲームが冬場に行われる事もあり、NFLはテレビ観戦に向いたスポーツだと思う)。
試合のテンポはゆっくりなので、ビール片手にのんびり楽しめる。
ひとつひとつのプレーはスピード感に溢れていますが、一つのプレーが終わるごとに試合が中断されるため、試合のテンポはゆっくりしたものです。試合時間は15分のクオーターが4つで計60分ですが、実際には約3時間ほどかけてゲームが進みます。アメリカでスポーツバーに行くと、ビール片手に盛り上がっている人たちをよく目にしますが、ビール片手に友達とわいわい楽しめるスポーツです。
アメリカの都市や地理に詳しくなれる!
NFLはNational Football ConferenceとAmerican Football Conference、二つのサブリーグから成ります。それぞれ16チーム、総勢32チームでのリーグ戦となりますが、ニューヨーク、ロサンゼルスといったメジャーな都市から、グリーンベイやカンザスシティといった日本ではあまり馴染みの無い都市まで、全米各地にチームが点在しています。NFLを覚えると、自ずとアメリカの都市や地理に詳しくなれます。
例えばコロラド州・デンバーを本拠地とするDenver BroncosのホームスタジアムはMile-high Stadiumと呼ばれていますが、これはデンバーがちょうど海抜1マイル(約1.6km)のところにある事から来ています。このような小ネタの他、NFLが本拠地を置く都市と、米国経済の分布の相関に思いを寄せたりするのも色々な発見があり面白いです。
スーパーボウル
NFLのレギュラーシーズンは9月から12月末もしくは1月頭までで、小地区優勝チームが決まると1月にプレーオフが行われます。このプレーオフを通じてカンファレンス優勝チームが決まり、2月の頂上決戦・スーパーボウルで全米チャンピオンが決まります。このスーパーボウルは47.7%というテレビ視聴率が示すように国民的イベントであり、当日は家族や友人で集まりそこここで観戦パーティが開かれます。ゲームの内容は元より、試合のハーフタイムに催されるスター歌手によるライブショー、いわゆるハーフタイムショーも毎回大きな話題となります。また30秒枠一本5.5億円と言われるコマーシャルも各社当日専用のものを用意しており、こちらも一番インパクトのあるCMがどれだったか、毎回議論となります。
ファンタジーフットボール
NFLはじめプロスポーツリーグの人気に拍車をかけているのが「ファンタジースポーツ」と言われています。ファンタジースポーツとはオンラインゲームの一種であり、実名の選手から成る架空の(Fantasyの)チームを作り「現実の選手のパフォーマンスに応じたポイント」で友人と勝負するというものです。ファンタジーフットボールの場合、例えば自分が選んだ選手が実際にタッチダウンを決めると6ポイント入ったり、10ヤードラッシュして1ポイント入る、といった調子でゲームは進んで行きます。
ファンタジーフットボールの魅力だけで一晩中語れてしまいますが、
- 憧れのNFLのチームオーナーになれる!
- 実際の試合と連動するので試合がより楽しめる!
- 友人とリーグを結成してシーズン通じて盛り上がれる!
- 昨年のステータス、対戦成績の分析、など豊富なデータが揃ってる!
- 毎週のスタメンや戦略を考えるのが楽しい!
- ドラフトの奥が深過ぎる!
といった魅力があります。
ファンタジースポーツはNFLの他、MLB、NBA、ゴルフ、NASCARまで様々なスポーツでプレーされており、北米で約5,900万人ものプレーヤーがいると言われています。ファンタジーについてはまた記事を書きたいと思いますが、まずはアメリカ人が熱中しているFantasy Sportsというものがあり、スポーツ産業の興隆に一役買っていると認識頂ければ。
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